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JSH2014 による高齢者における降圧目標

 最近、外来での血圧が140 になっていると、「血圧が高い」と心配される高齢の患者さんがしばしばおられます。これはテレビのコマーシャルの影響が大きいと、私は考えています。そこで日本人の高血圧の降圧目標をJSH2014(日本高血圧治療ガイドライン2014)から引用して、紹介しておきましょう。「高齢者における降圧目標は前期高齢者では140/90未満、後期高齢者では150/90未満とする」(92頁)とされています。
 皆さまが家庭で記録されている血圧表をみると、多くの人がこの基準を満たしていることに気づかれることでしょう。
 また、このガイドラインの88頁に以下のような記載もあります。「本邦の国民健康・栄養調査(平成23 年)によれば前期高齢者の66%、後期高齢者の80%が高血圧に罹患している」のだそうです。罹患とは病気にかかっていることですから、高齢者の大半は病気にかかっていることになります。後期高齢者では8割が病人ということになります。学者の目からみればそうなりますが、人は老いるものだと考えると、異なる解釈もできそうです。

俺、風呂に入れてやろうか

 私の患者さんに東京下町生まれの快活なお母さんがおられます。このお母さんをみているとなんとなく昔の東京の下町の風景を連想します。映画「寅さん」のあの下町・葛飾柴又です。明るくて面倒見がよくてシャキシャキ飛びまわって人生を明るくみている姿はまさしく下町娘です。
 このお母さんには4 人のお子さんがおられます。11才のミユウちゃん、9才のソウ君、6 才になるシュン君と、生後10 カ月のトウキ君です。
 今回はこの4人の物語です。ある日の夕方、ソウ君が「お母ちゃん、俺トウキを風呂にいれてやろうか」と声がかかりました。 「ジャ、頼むわ」と返事をしてそのまま夕食の準備を続けていました。まもなくドライヤーの音がするので風呂場に行ったところ9才のソウ君がトウキ君の洗髪まですませてのドライヤーだったのです。その間、お母さんは風呂場へ行くこともなく心配せずに家事を続けていました。このソウ君は3 才の時に生まれたばかりのシュン君のおむつ替えに取り組んだこともあるそうです。
 今の時代、9才の子に10カ月の赤子を入浴させるなんて危険だと非難されそうです。逆に両親二人がかりの入浴風景もありそうです。
 しかし考えてください。かつての日本では子供5,6人という家庭は普通でした。このような大家族で母親は現在と同じような育児ができたでしょうか。多分、多くの子供は今ほど濃厚な世話を受けることなく、捨て育ちに近い状態であったろうと思います。兄弟数人のなかで取っ組みあいの喧嘩をしたり、かばい合ったりしての生活だったのでしょう。弟が兄に喧嘩を仕掛けるのもごく日常的であったでしょう。これは親から叱られるのと違って下を向く必要はありません。心向くままに喧嘩をして泣いたりやっつけたりしながら人間関係を学んでいったのです。このような学びがあったので小学生の筆箱に小刀が入っていても危険ではなかったのでしょう。また、大家族の中では子供が赤子を風呂にいれても親が心配しないだけの頼もしさが生まれていたと思います。
 因みに長女のミュウちゃんはあまり手伝いをしない子だったそうですが、いつのまにか弟のソウ君を見習ってよく手伝いや年下の世話をするようになったそうです。大家族の中では子供同士がいつのまにか育て合いをしているような気がしました。
 このような子供同士の育て合いの有無が昔と今の大きな違いのような気がします。この一家の暮らしぶりはとても大事なことを私たちに示してくれているようです。


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医療法人社団 折田医院
診療科目:内科、呼吸器科、循環器科